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「考える子ども」№272 

   「『総合的な学習の時間』実施に向けて」

■はじめに
 「総合的な学習の時間」の実施を目前にして、現在もなお「さて来年度はどうしようか」と困惑している教師の一人です。そのことの意味として、学校全体で果たして取り組んでいくことができるのだろうかという不安と、現行学習指導要領(いわゆる「新学力観」と呼ばれていたもの)のねらいは実際に教育現場に定着したのかという疑問との狭間に自問自答を繰り返しています。
 現在、自分自身が考えていることや気になることを中心に書かせていただきたいと思います。

■文部科学省「学びのすすめ」
 過日、文部科学省より「確かな学力の向上のための2002アピール『学びのすすめ』」が出されました。すでに読まれた方も多いと思いますが、新学習指導要領における「確かな学力」の向上のための具体的方策5項目が出されました。
 それを読んでみると、どうも「学力低下批判」に対して出された苦肉の策としか思えないのです。
 例えば、その中の項目の一つに、「学びの機会を充実し、学ぶ習慣を身に付ける」と掲げ、その具体的な手立ての例として「放課後の時間などを活用した補充的な学習」「朝の読書」「適切な宿題や課題」などを「学ぶ習慣をつける」ための方法として示しています。
 子どもたちの学び方は、その子ども自身が作り上げていくものだと考えています。また、子どもたちの「学ぶ習慣」は、それぞれの子どもたちが「自分なりの学び方」を見つけることなしには身につかないものではないでしょうか。
 ある程度の学習習慣を身につけさせるためには、それは必要なことかも知れませんが、子どもたちの真の「学ぶ習慣」が身につくとは到底考えられません。

■「基礎・基本」と「学力」
 重松鷹泰先生はその著「子どものための教育」の中で、次のように書かれています。
 『・・・どこまでが基本的かと考えていくと、案外わからなくなってしまい、しまいには、教科書に書いてあることを全部というようなことになってしまいます。誰にでも共通な基本的な知識というものはないのではないか、という考えもでてきます。・・・(15章 誰が何を教えるか)』
 「総合的な学習の時間」についてもそうですが、「基礎・基本」や「学力」についての捉え方(見解)の相違が個々の教師や学校によっても見られます。学校全体で取り組んでいこうとする時、それらの共通理解がいかに難しいものであるかを実感しています。
 昨年11月、校内授業研究会で香川大学の松本康先生にお越しいただき、お話を聞く機会がありました。
 その中で、このことについてお尋ねをしたのですが、その日の学習場面に即しながら、次のようなお答えをされました。
「子どもたちが共通に持っている基礎・基本というものは抽象的なものである。現実(生活)とのつなぎ方を考えなければならないのであって、それをどう生かしていくか(生きているか)が大切である」というお話を聞き、自分自身の中にすっきりと落ちたような気がしました。
 「各教科の基礎・基本の上に総合的な学習が成立する」という考え方をよく聞きます。もちろん、各教科で獲得した知識や技能が総合的な学習に生きることは明らかです。
 しかし、あくまでもそれは一般論であり、子どもたちの共通な知識は不安定であり、個々の子どもたち独自の捉え方(学び方)により身についていくものだとすれば、教科学習と総合的な学習は同位概念と捉えるべきものではないかと思うのです。
 教科学習と総合的な学習がどの程度に絡み合い、教科学習でのねらいが総合的な学習でどのように実現するのか、また総合的な学習で学んだことをどのように教科学習に還元できるのかというバランスが大切だと思っています。教科学習と総合的な学習は別物ではなく、むしろ相互に影響し合い、同化させていくような学習構想を考えていくことが必要になってくるのではないかと考えています。
 そのためには、これまで以上に子どもたちひとりひとりをしっかり看取っていく教師の技量(発言・つぶやき・ノート・活動などトータル的な側面から)が必要なことを痛感しています。
 
■教科学習の見直し
 新学習指導要領実施にあたり、特に総合的な学習の時間がクローズアップされがちです。しかし、現行の学習指導要領においても、総則に「各教科等の指導に当たっては、体験的な活動を重視するとともに、児童の興味や関心を生かし、自主的、自発的な学習が促されるよう工夫すること」と書かれているように、「自己教育力」「問題解決能力」などの育成は重視されてきたはずです。現行の学習指導要領の上にたって、新学習指導要領が展開されなければならないのですから、これまでの教科指導等の見直しや総括は必要であることは言うまでもありません。
 例えば、「自己教育力の育成」はこれまでの教科学習において、どの程度培うことができたのか、もし不十分であったのならば、なぜそうなのかという総括をしつつ取り組んでいくことが、総合的な学習を生かすことにもつながってくると思います。

■「朝の会」の取り組みから
 本校では教師とともに行う「朝の会」を全学級で取り入れるようになって、今年で5年目になります。それぞれの学級で様々なバリエーションはあるものの、「元気調べ」は共通してどの学級でも実施されています。
 自分の健康状態を話した後、お話をしお尋ねを出し合いながら進めていくというものです。様々なお尋ねや意見を出し合う中で、自分と他者との関わりやつながりを意識し、さらには自分自身を振り返るきっかけにもなっています。
 学年ごとのねらいを次のように捉え取り組んでいます。

 低学年・・・友だちのお話を聞き、お尋ねを出すことができる。
 中学年・・・友だちのお話と自分の体験を重ね合わせながら、お話をすることができる。
 高学年・・・学習活動とかかわりのある話題を提供できる。

 そして、話し合いの中で出てくる子どもたちの「願い」や「意識」を取り上げ、それを自覚させ深めさせ、教科学習に結び付けて考えられるようにしたいと考えています。
 『・・・私は朝の会が好きなので、回ってくる日の前に何を話すか決めています。・・・ちなみに私の話すことは、身近なこと(陸上・バスケット・塾・お母さんのこと)とか世間のこと(テロ・狂牛病・総合的な学習の時間に対して思っていること)などを話します。私にけっこう色々言うから、もっとみんなの意見を聞きたいです。・・・(11月5日 Mさん)』
 『・・・朝の会は私にとって大事な時間。なぜと聞かれたら、「ヘビヘビ仮説」とか私の普段の生活の中での不思議が生まれるから。もし、朝の会がなかったとしたら、自分は何も考えを持たずに生きていると思う。そう考えていると少し自分がこわい。・・・朝の会でおたずねをする人が増えたのは事実。・・・(11月8日 Yさん)
 『・・・朝の会の「話」っていうのは、今の自分の心の中のことだったり、自分のまわりの様子とかを話す時間だと思う。・・・やっぱりはずかしいこととかしんどいこととかをやっていくべきだと思う。・・・(11月10日 Sさん)

■「総合的な学習の時間」をどう捉えるか
 新学習指導要領に向けての移行期にいくつかの研究会に参加したり研究冊子を読んだりしましたが、やはり活動が中心になっているものが多いことを実感しています。また、やがては総合的な学習の時間は「コンピュータ」と「英会話」にとって代わるような危惧さえも感じられます。
 新学習指導要領実施に向けての移行期において、本校では「教科からの発展学習」としての総合的な学習と捉え、思考錯誤を繰り返してきました。子どもに即して寄り添っていこうとするならば(感覚・感性に寄り添っていこうとすればするほど)、子どもたちの学習は総合化せざるを得ないものだという考えを持っています。
 つまり、教科の問題解決学習を深めていけば、教科の枠からはみ出し、子どもがもっと追究したいという発展の芽が出てくることが「総合」につながるものだと考えています。
 三学期に入り、「世界の中の日本」の単元で独自学習を進めていくうちに、子どもたちは昨年9月に起こった「米同時多発テロ事件」について学習をしたいと話しました。
 独自学習の中で、Yさんは次のように書いています。

 今、世界で「アフガニスタンをきっちり整えよう」って感じで会議していて、まだ攻撃が続いているのにもかかわらず、そんなことをするのはちょっともう少し待って、アメリカに攻撃をやめさせ、アフガニスタンの人たち全員にそのことを知らせてからやるべきだ。・・・日本は今、私から見れば、「他の国に遅れをとるな。日本は金もあるしアイディアもある」というふうな感じで、そんな会議を開こうとしているのではないかな。だって、アメリカに「見えない力で協力する」と言い、「自衛隊を送る、これはテロ対策だ」なんて変な言い訳を考えて言って意地をはろうとする。だから、今回は英、米が一緒に戦っていたけど、実は日本も弱い国と見られてテロとか起こるのを恐れていると思います。だから、日本は重大な役割をしているとか教科書とかに書いているけど、本当は「みくびられると思うほど強がろうとする」って思うので、世界の中の日本は小さい存在。・・・学習していきたいことは、やっぱり「日本はどうして協力したいのか」、・・・その他いろいろ、主に「宗教との関係」というテーマでみんなと話していきたい。それと、「どうして同じことを繰り返すのか」ということも話したい。だって、日本史とかみていて、歴史であることと同じことをするのかっていうことも・・・。(2月12日)

 卒業までのわずかな時間、子どもたちの独自学習をもとに学習内容を構想しながら、最後の学習を進めていきたいと思っています。

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