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兵庫県小学校社会科研究会夏季幹事研修会(フルーツフラワーパーク) 

「ひとりひとりを生かす社会科学習」(3年・社会科実践発表)
 講演:片上宗二先生(広島大学

 昨年度、実践したものを発表しました。30分間という短い時間でしたが、200人ぐらいの前でマイクを使っての発表はとても緊張しました。夜の懇親会で片上先生とお話ができたことが大変勉強になりました。「社会科研究」第45号に概略を記してあります。



  一人一人を生かす社会科学習     
   -3年「町の人々のくらしのうつりかわり」を通して-
1.はじめに
 授業において、一人一人を生かす社会科学習とはどういうことなのか。そういう授業の追究はおそらく結論は出ないだろうが、教師としては常に意識しておかなければならないことだと思う。
 また、一人一人を生かすためには、一人一人を知る、一人一人がどういう問題意識をもっているかなど、詳細に把握しておく必要がある。そして、子どもがもった問題意識を授業の中で生かし、それを解決していく過程で考える力が身についていくことが期待されるのである。現在、子ども理解の手立てとして、次の二つに取り組んでいる。

 ① カルテの継続およびトータル的な解釈
 ② 座席表の活用(座席表授業案、白紙座席表など)

 「カルテ」は一人一人の子どもについて、「おやっ」と思うことを中心に記していく。その子どもについて「おやっ」と感じるときは、その子の見方、捉え方が崩されたときである。そういう事実を繋ぎ合わせてみて、その子どもを理解していこうとする。また、それがその時々のその子の捉え(解釈)にもなっている。そういったことを授業の中でどう生かしていくかということが課題である。 

  K・Rのカルテより(単元との関わりから)
 1/10 おじいちゃんが生まれてから50年の歴史を年表にまとめてくる。
 1/12 60年ぐらいで、そんなに町が変わるとは思えない。
 1/18 竿秤でちょうどよくつり上げられたと思う。そっくりの物でも重さが違うものがあるから難しいと思う。
 1/29 昔は便利なものが作られていなかったから、今と昔は全然変わってしまったと思う。
 1/30 昔の農業は大変だったんだなと思う。
 1/31 馬を使って何をしていたのかなあ。
 2/7  おじいちやんはAM3:00~PM9:00ごろまで働いていたから、すごくやせていたと言っていた。大変だったと思った。
 2/9  農業は贅沢をしているけれど、しんどいのかなあと思った。

 また、座席表には様々なことが書かれる。それは、「カルテ」であったり子どもの「発言」であったり「作文」であったりする。座席表に記すことによって、個々の実態が浮かび上がってくると同時に全体的な傾向も見えてくる。
 また、座席表を子どもたちに配ることにより、お互いにどう考えているのか、誰と関わればいいのかなど子どもたちが意識できる。
 まず、一人一人の子ども理解をもとに子どもの意識がどこにあるのか、どういう方向に向けられているのかを理解した上で授業を構成していくことが大切である。

2.実践例
 新しい単元に入るときには、子どもたちが何を意識しているのか知るために、最初に「学習したいこと・調べたいこと」という題名で作文を書かせることが多い。

◎ぼくの学習したいこと・調べたいことは、昔(父さんや母さんの子どもぐらいの時代)の道具について、今の道具と比べたい。例えば、みのかさとかかっぱなどで比べる。もう一つは、全体の昔と今の全体のものを比べる。または、学習問題で「三原町のもので、今から昔のものはどういうふうに変わっているのか」などを学習したい。それか「三原町は昔から今までどういう発展をして、変わってきたのか」などをやりたいです。たとえば、電車は昔通っていたけど、三原町ではバスの方がいいので変えたなどです。(K・T)
◎ぼくは、千歯こきやとうみやあぶみ、脱穀機やそういうものを調べたらいいと思います。なぜかというと、ぼくの家に千歯こきととうみがあるのでくわしく知りたいです。他には、玉ねぎやいろいろな作物の移り変わりを調べたらいいと思います。なぜかというと、三原町は玉ねぎがさかんだし、いろいろ作っているので作物をしたらいいと思います。(T・M)

 子どもの書いた作文をもとにして、子どもたちと一緒に学習計画を話し合う。話し合う中で、友達の考えや意見を聞いて自分の考えが変わる子もいる。(社会科座席表授業案、授業案は省略)学習計画を立てるときには、必ずどの子もどこかで関わりがもてるように全員をどこかで位置づけるようにしている。
 ここで取り上げるのは、16時間目の「おじいちゃん、おばあちゃんの頃の学校生活と今の学校生活とどちらが楽しいか」という学習問題である。これまでは、農家の人々のくらしの移り変わりを学習してきている。
 座席表には、本時におけるそれぞれの子どもに対するめあてや願いが書き込まれている。できる限り、子ども一人一人を見ていきたいという教師の願いでもある。
 本時の話し合い学習を通して、今と昔の学校生活の違い、個々がもっている問題点などが明らかにされた。次のようなものが、今後学習してみたいこととして子どもたちから出された。

◎「修身」とは何か。
◎宿題の量や教科の種類はどういうものがあったのか。
◎学校でサルや蜂を飼っていたのはなぜか。
◎運動場に芋を植えていたのはなぜか。

3.おわりに
 子どもの問題意識に答えられるような学習の創造は、何も社会科に限ったことではなく学校教育活動全般を通して行うべきものである。
 その基本となるところは、やはり子ども理解に尽きるのではないかと考えている。
 「この単元ではこういう授業を」という前に、この子がいるからこそ、この授業構想でという考え方を常にもち続けたいと思う。子ども理解に始まり子ども理解に終わるのが学習活動ではないだろうか。
 そのためには、教師として考えさせたいことや教えたいことと、子どもの問題意識とのずれをどう埋めていくか、またはどのように両者の接点をもたせていくかという力量を絶えず身につけ続けていかなければならないと思う。
 一つの問題提起である。「社会科研究」第45号 (1997年2月)

  ※「全体のけしき」「座席表授業案」は省略しています。

オープンエンド化による社会科授業の創造
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